事業協同組合とは
事業協同組合とは、中小企業者がお互いに協力し、助け合う精神(相互扶助の精神)に基づいて協同で事業を行い、経営の近代化・合理化と経済的地位の向上・改善を図るための組合で、組合は組合員の事業を支援・助成するためのものならばほとんど全ての分野の事業が実施できます。
組合の設立も4人以上集まればよく、気心の合う同じニーズをもった事業者だけで比較的自由に設立でき、中小企業者にとって非常に設立しやすい組合として広く普及しており、最も代表的な組合です。
従来は同業種の事業者で設立するケースがほとんどでしたが、最近では、異なる業種の事業者が連携してこの事業協同組合を設立し、各々の組合員が蓄えた技術、経営のノウハウ等の経営資源を出し合って新技術・新製品開発、新事業分野・新市場開拓等をめざすものが増えています。
事業協同組合が行う共同事業にはいろいろな種類があります。
多くの種類の中で、共同事業の中には、それ単独では、事業協同組合の目的として認められないものがあります。
それは、福利厚生事業と、外国人研修生受け入れ事業です。
福利厚生事業は、逆に、他の目的で事業協同組合を設立する際に、組み合わせて目的をすることを勧められがちです。
外国人研修生受け入れ事業は、他の事業目的で、1年以上の実績を積み、間違いのない組合であるということを証明して初めて、組合の目的として認可されることになります。
行政書士は、外国人の手続きにも精通しており、外国人研修生受け入れの際に必要となる研修の講師になることもできます。
ぜひ、行政書士を利用されてみてください。
事業協同組合・許認可情報
根拠法令 | 中小企業等協同組合法 |
申請窓口 | 許可権者:都道府県または上級庁の局長 受付窓口:同上 |
費用 | かかりません。(必要書類取集などの実費は必要) |
その他 | 参考リンク集 法人の設立Q&A 報酬目安表 |
多くの組合が行っている事業
共同生産・加工事業
個々の組合員では所有できない高額・新鋭設備等を組合が導入し、組合員が必要とするものを生産・加工し、組合員に供給する事業です。
これによって、原価の引下げ、規格の統一、品質の向上、設備や仕事の効率化などが図れます。
共同購買事業
組合員が必要な資材等を組合がまとめて購入し、組合員に供給する事業です。
これによって、仕入先との交渉力が強化されるので仕入価格の引下げ、代金決済条件などの取引条件の改善、購入 品の規格・品質の均一化などが図れます。
共同販売事業
組合員が取り扱う製品を組合がまとめて販売する事業です。
これによって、販売価格や決済条件が有利になるほか、大口需要先の開拓など販路の拡張が図れます。
共同受注事業
組合が注文を受け、組合員が仕事を分担、組合が納品する事業です。
これによって、大口注文先の開拓など販路の拡張や取引条件の改善などが図れます。なお、組合員に注文を斡旋する方法もあります。
共同検査事業
組合員の製品、設備、原材料等について、その品質・性能などを検査する事業です。
これによって、品質の維持・改善、規格の統一などが図れます。
市場開拓・販売促進事業
市場開拓事業は、組合員の製品や取扱商品など販路拡大を図るため、共同で市場調査や展示会を開催する事業です。また、販売促進事業には、広告・宣伝、共同売出し、クレジットなどの事業があります。
これらの事業は、個々の企業では採算が合わないとか、品揃えができないなどの理由で実施することが難しい場合でも共同で行うことによって可能になります。
研究開発事業
組合が研究施設を設置したり、公的な試験研究機関等に研究を委託するなどにより組合員の事業に関する様々なテーマについて研究開発を行う事業です。
これによって、新製品・新技術・意匠・生産工程・販売方法の改善・開発のなどが図れます。
情報提供事業
組合の経営に役立つ需要動向、技術情報、業界情報、経営管理情報等を収集し、組合員に提供する事業です。
組合の共同事業に役立つ情報の収集や組合をPRするための情報を組合員や関係方面へ提供することも大切な情報提供事業の一つです。
最近では、コンピュータなど情報機器を積極的に活用して情報提供を活発に行っている組合も多くみられます。
人材養成事業
組合員をはじめ、その後継者、組合員企業の管理者などを対象に計画的・体系的な教育研修等を行うことによって人材を養成する事業です。
人材は企業経営の根幹を成すものですが、最近では特に、情報力、技術力、マーケティング力等のソフトな経営資源の充実を図る必要から、この事業の重要性が高まっています。
金融事業
組合員に対して事業資金を貸与し、または金融機関に対する組合員への債務を保証することにより、組合員の事業資金調達の円滑化を図る事業です。
組合が金融機関から資金を借り入れ、これを組合員に貸し出す方法と、組合員が金融機関から直接借り入れる際に組合が斡旋する方法があります。
組合と組合員のための金融機関として商工中金があります。
債務保証事業
組合員が顧客や仕入先等と取引をする際に、組合がその取引の債務を保証する事業です。
これによって、組合員の取引の円滑化と拡大が図れます。
共同労務管理事業
組合員の従業員の確保・定着あるいは能力の向上などを図るため、組合員が行う労務管理の一部を組合が代わって行う事業です。
これによって、福利厚生等の労働条件、安全衛生、作業環境等の改善が図れます。従業員の知識・技能等の向上を図るための教育・訓練なども盛んに行われています。
福利厚生事業
組合員の私生活面の利益を増進するための事業で、健康診断、慶弔見舞金の支給、親睦旅行、レクリエーション活動などがあります。
この事業は、組合員間の融和、組合への参加意識、帰属意識、協調性の高揚等に効果があります。
ただし、この事業は、この事業のみをもって、協同組合に直接的な利益をもたらさないため、この事業のみで協同組合の設立をすることは難しく、他の、直接的な利益を発生する事業(共同購買事業など)と組み合わせて事業を行う必要があります。
外国人研修生受入事業
メンテナンス等に技術が必要な機械等を輸出する際、事前に輸出先の国から研修生を受け入れ、研修を積ませてから輸出を行うと、輸出が円滑に行われ、組合員の開発した機械等をたくさん輸出できるなどなど、この形にとらわれませんが、外国人研修生を受け入れることが将来的に組合に利益をもたらす事業がこれに該当します。
受け入れた外国人は、技術を身につけたら、本国で、その技術を生かす必要があります。そのまま、日本の企業に就職はできません。
また、この事業でのみの事業協同組合の設立は認められておらず、他の収益のあがる活動で、1年以上実績を積んだ組合にのみ、この事業が認められることになっています。
※現在は半年ぐらいで管理団体許可申請ができます。
経営環境の変化に対応する新たな事業
これまで説明した事業は、事業共同組合が行っている主な共同事業とその概要を紹介したものです。
組合の共同事業は、これまでも時代の変化に対応して新しいものが生まれています。
例えば、地球温暖化、廃棄物、フロン等のエネルギー環境問題への対応事業、都市の過密化に対応するための集団化事業、デザイン・商品の研究開発、情報化社会への対応、ITを利用した管理システムの開発、地域産業おこし 等の共同事業です。
最近は、それぞれ異なる業種の企業同士が結び付き、互いの技術や経営、マーケティングのノウハウ等を提供しあって新技術・新製品を研究したり、介護・福祉などの新しい事業分野の開拓、製造物責任に対応するための製品の安全対策、情報ネットワークの構築等の事業が注目されています。
事業協同組合設立・必要書類
事業協同組合設立認可のための提出書類は次のとおりです。
1、認可申請書
2、設立趣意書
3、定款
4、事業計画書(初年度及び次年度)
5、収支予算書(初年度及び次年度)
6、役員名簿
7、設立同意者名簿
8、設立同意者が組合員たる資格を有する者であること設立発起人が誓約した書面
9、設立同意書及び出資引受書
10、創立総会議事録
11、理事会議事録
12、役員の就任承諾書
13、設立発起人印鑑証明書(各自2通)
14、設立発起人の納税証明書(各自2通、県税事務所にて受領する。)
15、委任状(発起人代表への認可申請権限の委任)