時間は待ってくれない遺産相続
遺産相続手続きと言って、まず頭に浮かぶのは、相続税、という人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、実際に相続が発生した時に、相続税がかかるケースは全体の5%に満たない、と言われています。
では、遺産相続手続きとは何を指すのでしょうか。
それは、主に遺産分割協議、遺産の名義変更、ということになるのではないでしょうか。
遺産相続については、民法の中で、細かく定められており、それゆえに、これらの手続きは簡単ではありません。
法的知識なく、手続きを進めたゆえに、借金という負の遺産を背負ってしまうこともあります。
さらには、不動産は役所の手続きがメインなのでよいですが、預貯金などの動産の相続手続きは、体験した者にしかわからない難しさがあります。
また、忙しい中、時間を割いて手続きをしたのに、他の親族から、自分に有利になるよう手続きをしたのではないか、と、疑いの目で見られてしまうことも少なくありません。
些細な事で争いやトラブルが起きる可能性は、法的知識を持った第三者に相続手続きを一任することで回避することができます。
遺産相続手続きは法的知識を持った専門家、つまり、当事務所を始めとする行政書士に任されてはいかがでしょうか。
失敗をする前に、些細な事で親族ともめる前に、是非、私達をご利用ください。
さあ、故人が亡くなった瞬間から相続は始まります。
期限のある手続きもあります。
悲しみに暮れている暇はありません。
当事務所に手続きを依頼された場合、概ね、下記の順序で手続きをしていきます。
健康保険や勤務先の手続き
健康保険の手続きって?
葬祭費、埋葬料、埋葬費、と名前がいろいろあるのですが、要は、国民健康保険や社会保険から、お金が貰える、ということです。
必要な書類は、
1)保険証
2)死亡診断書(サラリーマン等、勤めてる人は会社で用意されている死亡証明書。)
3)葬儀費用の領収証
4)印鑑
になります。
貰えるお金の名前や金額等は、入っている保険や、亡くなった人と葬儀を行う人の関係によって異なります。
国民健康保険加入の場合は、市町村役場へ、社会保険加入なら勤めている会社、もしくは社会保険事務所に問い合わせてみるとよいでしょう。
勤め先の手続きって?
まず、勤め先から社内で規定されている、慶弔見舞金が貰えることがあります。
さらに、告別式に勤め先から弔電や、花輪が送られることがあります。
退職金の手続きもあるでしょう。
また、健康保険の手続きの項でも述べたように、健康保険や年金等の手続きも会社に相談します。
遺言書の取り扱い
遺言書がないか、確認しておきましょう。
もしあったら、勝手に開けたりせず、家庭裁判所の検認を受けます。
遺言書は勝手に開けてはいけません。
遺言書を見つけたら、勝手に開けたり、遺言書の内容を実行してはいけません。
5万円以下の過料(犯罪には数えられない反則金)に処せられることがあります。
場合によってはあらぬ疑いをかけられて、相続が出来なくなるかもしれません(相続欠格)。
遺言書が、封筒に入っているとも限らないので、それほど厳格ではないのですが、遺族間の疑心暗鬼のもとになりますので、こっそり中身を見てしまうのは、あまりお勧めしません。
「遺言書の検認」とは遺言の存在を明らかにして、偽造や変造を防ぐためのものです。
ですから、家庭裁判所で、相続人や、利害関係者(その遺言の内容によって、得したり、損したりする人)の立会いのもと、遺言書の内容を確認しなければなりません。
遺言書が公正証書遺言のときには、検認は必要ありません。
相続人の確認
「相続人の確認」をします。
同じ親族でも、相続人になれる人、なれない人がいます。
戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本といった、役場の書類で相続人の確認します。
ここで確認できても相続人になれない人もいます。
「法定相続人」
ご近所のおばさんが相続人になれたりはしません。
親戚なら誰でも相続人になれる、というわけでもありません。
そうじゃなかったら、ドラマで人を殺して相続順位を上げる、なんて苦労をする必要がありません。(遺言書があれば別ですが)
さて、話はそれましたが、相続人には範囲と、順位があるのです。
これを「法定相続人」といいます。
第1順位 故人の子供たち
第2順位 故人の親
第3順位 故人の兄弟姉妹
順位があるというのは、上の順位の人がいたら、下の順位の人には、相続は発生しない、ということです。
故人に子供がない時にはじめて、故人の親に相続が発生し、親もなかった時に、兄弟に取り分があるのです。
ドラマでお金持ちの一人息子が危険な目に遭うのはこのためです。
配偶者(故人の妻や夫)は、常に、上記の人と一緒に相続します。
夫が亡くなれば、妻と子供たち、子がない時は、妻と夫の親、といった具合です。
ここでいう配偶者は婚姻届がきちんと出ている人をいいます。
愛人、内縁の妻等は相続することはできません(遺言書がない限り)。
さて、ここで細かく、各相続資格者について解説していきましょう。
第1順位 故人の子供たち
1) 結婚して明らかに二人の間に出来た子供と養子。
相続できる子供たちには、純粋に故人とその配偶者との間に生まれた子の他、養子に出た子、養子に入った子も含まれます。
ですから、養子に出た子は、生みの親、育ての親、両方から遺産がもらえることになります(特別養子縁組という例外があります)。
2) 結婚していない人との子供
愛人等、正式に結婚していない人(内縁関係)との間に出来た子も、この順位に入ります。 ただし、認知されていることが必要です。
そして、相続分は他の子供たちの半分になります。
ところで、認知さえしなければ、相続問題は発生しないなんて思わないで下さい。
認知させる権利というのは、非常に強力です。
相続分のない愛人が、故人から何かしらを相続するには、遺言か、子供を利用するしかないのですから、相続問題ばかりでなく、その前に、認知でもめることになります。
3) 胎児
故人の亡くなった当時、お腹にいた赤ちゃんは、どうなるでしょうか。
生まれた者とみなされ、相続人になります。
不幸にして、生まれることがなかった時は、はじめからいなかったものとみなされます。
なので、その生まれることのなかった赤ちゃんに、一度相続をさせて、それを赤ちゃんの遺産として、お母さんが相続、ということはできません。
4) 連れ子
故人が結婚した時に、すでに配偶者に子供がいた、いわゆる連れ子はどうなるでしょうか。
ずばり、相続人になりません。
なぜなら、故人の子ではないからです。
こんなことのないように、連れ子がある結婚の時は、養子縁組をしておくとよいでしょう。
5) 代襲相続
子供はいたのに、不幸にして故人より先に天に召されていた時はどうでしょうか。
その子に子があった時、つまり、故人の孫がいた時は、孫が親に代わって、相続人になります。
孫がいなければひ孫が相続人になります。
これを代襲相続といいます。
つまり、故人に、子供や孫といった子孫が存在しない場合にしか、相続順位は第2位に移りません。
親にどうしても遺産を遺したくない人は、子作り励むか、世話になった人の子供を養子にもらうしかありません。
第2順位 故人の親
はからずも故人に子孫がなかった時、故人の親が相続人になります。
ここにも代襲相続の規定があり、親が無ければ祖父母、それも無ければその親、と、たどっていくことになります。
故人に子孫も無く、親、祖父母等が無い時にはじめて、相続順位は第3順位へと移ります。
第3順位 故人の兄弟姉妹
故人に子孫無く、親も無い、縦の血縁関係が無い時に、相続人の地位は、ここにやってきます。
異母、もしくは異父の兄弟姉妹があった時は、その人も相続人になれますが、取り分は他の兄弟姉妹の半分になります。
ここにも代襲相続の規定があります。
しかし、兄弟姉妹の子、つまり故人の甥姪までしか代襲相続は認められません。
第1順位である、子の代襲相続のように、さらにその子が相続人になる、ということはありません。
遺言書によって、法定相続人以外に相続人が発生した場合
相続人でもないのにあなたに何々を遺します、と遺言で示された人、これを相続人に対して受遺者と呼びます。
当然相続が発生します。その相続物によっては相続人と争いになること があります。
さらに迷惑な存在に包括受遺者がいます。
受遺者は遺産の内、何々をくれる、という話になるのですが、包括受遺者は遺産の内、3分の1を遺す、といった遺言の遺し方で、他の相続 人と同等の立場で、話し合いをしなければなりませんので、もめないはずがありません。
受遺者が迷惑、というよりも、この遺言のされ方が迷惑です。
寄付以外にはお勧め出来ません。
相続人がいない場合
配偶者も無く、第3順位者まで、誰も相続人となる人がいない場合、遺産は一定の手続きを経て、国庫に帰属することになります。
特別縁故者に渡るということもありますが、本当に、身寄りが無いと思ったら、お世話になった人や団体に、遺言を遺しておいてはいかがでしょうか。
もちろん、私宛に遺していただいても結構ですよ。
子供たちが幸せに暮らせる社会作りのために役立たせていただきます。
相続人に未成年がいる場合
その未成年のために、特別代理人を立てる必要があります。
なぜなら、例えば、夫がなくなった時に、妻がいて、未成年の子が一人いたとします。
二人が相続人になるわけですが、妻の取り分が増えれば、子の分が減り、また、その逆もあるわけです。
妻が、子の代理人(親権者ですから)として、相続を任されてしまうと、遺産は全部妻のものにして、子に遺産はやらず、相続後養子に出して、妻はめでたく人生の再出発なんてことにならないとも限りません。
だから、こういった相続に関しては、未成年者のために、相続に利害がない人を特別代理人に立てる必要があるのです。
特別代理人の選任は、家庭裁判所での手続きになります。
法定相続人なのに相続できない人もいる。
相続人の欠格、相続人の廃除といいます。
相続人の欠格は故人を殺して有罪判決をうけたり、故人を脅して遺言書を書かせたり、遺言書を変造、破棄、隠匿した人などがこれにあたります。
2時間ドラマで遺産を狙う人は、大抵これにあたります。なにももらえません。もらえるのは刑だけです。
相続人の廃除は、故人を虐待したり、故人に重大な侮辱を与えたり、その他重大なあった人が受けることになります。
これは、故人が行うもので、他の相続人が誰かを廃除をする、と いうことは出来ません。
故人が生前に審判の申し立てをするか、遺言状で相続人の廃除を行います。
この時は、遺言執行人が必要になります。
生前、悪い息子に肋骨折られたりしたお父さん、診断書もって当事務所へ。
そんな息子に遺産を遺さなくて済むように遺言を作りましょう。
相続人の欠格、廃除になった人に子があった場合、その子に代襲相続が認められることになります。
他の代襲相続と同じく、甥姪までになります。
だから、生前にお前を廃除してやる、というと、やたら養子をとろうと画策し始めるかも知れません。要注意。
証拠をまとめておいて、こっそり遺言で廃除しましょう。
ばっちり、遺言執行のお手伝いさせていただきます。遺言執行人に私を指名してください。
戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本とは?
上記を踏まえて、相続人を確定する時に取得することになります。
戸籍謄本は取得したことがある人もいるのではないでしょうか。
住民票と違って、必ずしも住んでいたところでとれる訳ではないのが特徴です。
中には、戸籍を皇居所在地で登録している人もいます。
除籍謄本というのは、誰もいなくなってしまった戸籍のことです。
子供たちが結婚すると戸籍をぬけますね。そしてゆくゆくは、夫と妻の二人きりの戸籍になります。
そんな中、連れあいに先立たれると、一人ぼっちの戸籍になりますね。そして、残された一人が亡くなると、戸籍が空っぽになります。
この空っぽの戸籍を、除籍簿というわけです。
この戸籍や、除籍簿を見ると、その人が結婚してたとか、子供がいたとかがわかる(養子に出した子や、みんなの知らなかった認知された隠し子とかも)ので、これを取って、相続人は 誰になるかを確定するのです。
これは、今後、遺産の名義変更にも必要な書類になります。
改製原戸籍とは、戸籍の形式が変更された時の、変更前の戸籍をいいます。
なぜわざわざこれが必要なのかといいますと、変更されたタイミングによっては、新しい戸籍に知りたい情報が載っていないことがあるからです。
例えば、子供が嫁にいくなどして、戸籍から抜けた後に、戸籍が改製されると、その戸籍に子供がいた形跡がなくなってしまうのです。
そうすると、新しい戸籍だけでは子供の有無や人数が確定できなくなってしまうのです。
そんなときに、改製原戸籍謄本をとることになります。
故人がまさか3歳の時に子を作ったりするとは思えませんが、故人の出生から死亡までの除籍謄本や改製原戸籍が必要になります。
あんまり昔に遡ると手書きの改製原戸籍がでてきたりして、ちょっぴり楽しいです。
相続財産(遺産)の確認
遺産を相続する、と言っても、どんな財産が残っているのかを確認しないと、はじまりません。
家、土地、自動車、預貯金などはもちろん、庭に植わっている樹木なども相続財産になったりします。そして何より、借金の存在だけは明確にしておきたいですね。
土地、建物、株などは、相続時の評価額を出します。
相続財産には何が当てはまるの?
土地、家屋、自動車、預貯金、電話加入権、貸付金、貴金属、庭木、特許権、など様々です。
当然、借金や、故人本人のでなくても、故人が連帯保証人になってしまった借金、故人が他人様に与えてしまった損害に対する賠償責任など、マイナスの財産も相続財産となります。
相続時の評価額ってどう出すの?
土地なら、固定資産税評価額をもとに、路線価方式、倍率方式を使って出します。
家屋なら、固定資産税評価額によります。
土地も家屋も、まずは役場で固定資産評価証明書をもらっておきましょう。
株式などの有価証券、電話加入権など、相場のあるものは、相場によります。
相続方法の選択(3か月以内)
相続をするか、しないか、選択します。(3ヶ月以内)
単純承認
プラスの財産(預貯金、不動産等)もマイナスの財産(借金や損害賠償責任など)も全部まとめて相続します。
限定承認
プラスの財産からマイナスの財産を支払って、その残りを相続します。
相続の放棄
何も相続しません。借金、損害賠償支払等、マイナスの財産が多い時によく利用されます。
単純承認、限定承認って、どうやるの?
単純承認には、特別な手続きはありません。遺産の処分を開始したり、故人が亡くなった日(正確には相続の開始を知った日)から3ヶ月、何もしないで時が過ぎれば、単純承認したことになります。
限定承認は家庭裁判所に「相続限定承認申述書」を提出します。
相続人全員の合意が必要です(相続の放棄をした人は除く)。
申述書を出す際、故人の戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本と印鑑、そして何より財産目録が必要です。
負の遺産を清算し、残りがあれば相続、マイナスしかなければ、相続しなくて済む、一見、おいしい限定承認ですが、その分、財産の鑑定など、手続きが厳しく、費用もかかります。
また、財産目録に書かなかった財産があると、単純承認したものとされます。
財産隠して、借金払わずに済ます、なんてことがあってはなりませんから。
相続の放棄ってどうやるの?
相続の放棄は故人の存命中に行うことはできません。
あくまで相続が始まってから行使できる権利となります。
家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。
一度これが受理されると、犯罪が絡んでいない限り、撤回はできません。
遺産では払いきれないほどの借金があった時などに利用されます。
誰か一人に遺産を相続させたい時(農家の長男等)にも利用されがちですが、安易に使うと相続順位の下位の人に相続が発生したりします。
例えば父親が亡くなった時、子供たちが遺産は全部母親に遺そうと考えて、子供たち全員が相続の放棄をした場合、第2順位の父親方の祖父母に相続権が発生するからです。そういった場合は、放棄、という方法によらず、分割協議で、子供達のもらい分は無い、とするとよいでしょう。
また、これは借金を相続放棄するときも重要です。
第1順位の子が相続放棄をしますと、相続権が第2順位の親へと移り、親が相続放棄をすると、第3順位の兄弟姉妹に相続権が移るわけですから、借金を誰も相続せずに済むようにするには、子、親、兄弟姉妹、配偶者がいれば配偶者も、揃って相続放棄をする必要があります。
故人の準確定申告(4ヶ月以内)
準確定申告とは、毎年していた確定申告、年末調整を死亡にあわせて、早めに済ます、ということです。
会社に勤めていて、いつも年末調整を会社でしてもらっていた人は、死亡退職した時点で、会社が年末調整してくれるので、不要です。
そうで無い人が亡くなった場合、相続人が故人に代わって確定申告を行います。
ただし、長い闘病生活を送った末に亡くなったりした場合、多額の医療費を払ってるはずです。
そういった場合は、年末調整をしていた人も、確定申告が必要になります。
会社や税務署に相談すれば、申告すべきか、そうでないかは知ることができるでしょう。
遺産分割協議
遺産分割協議とは、相続人たちが、遺産をどう分けるか話し合いによって決めることです。
法定相続分(相続分の割合)と、相続(遺産分け)の仕方をご紹介しておきます。
「相続分の割合」
相続人には範囲と順位があり、その人たちと一緒に配偶者も相続人になります。
相続順位が下の人ほど、相続割合は少なくなり、その分、配偶者の相続割合が、多くなるようになっています。
これを法定相続分といいます。
1) 配偶者と子供たちの場合
配偶者は遺産の2分の1をもらい、残りの2分の1を子供の数で等分して分ける。
2) 配偶者と親の場合
配偶者は遺産の3分の2をもらい、残りの3分の1を親がもらう。(親が2人いれば等分)
3) 配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者は遺産の4分の3をもらい、残りの4分の1を兄弟姉妹で等分。
配偶者が無い時は、同順位者同士で等分になります。
これが法定相続分となります。
話し合いの結果、必ずしもこの通りにならなくても相続はできます。
あくまで紛争を避けるための決まりなのだと思ってください。
遺産はもらわなければいけない義務ではありません。もらえる権利なのです。
「遺産の分け方」
遺産にはこんな分け方があります。
1) 現物分割
遺産をあるがままの状態で、相続人に分ける方法です。
土地、家屋は妻に、預金は長男に、といった分け方が当てはまります。
2) 換価分割
遺産の全部、または一部をお金に換えて分ける方法です。
故人以外住む人のいない土地や家を、お金に換えて相続人で分ける、といったやり方が代表的です。
3) 代償分割
ある遺産を特定の人に相続させ、残りの財産を分け合おうとした時、法定相続分を相続できない人ができてしまいました。その時、その特定の人が、自分の財産の中から、不足分をその相続人に支払うという方法です。
長男が農家を継ぐために家、土地をもらう(それしか遺産が無い)代わりに、他の相続人に長男が自分の預貯金から、法定相続分を支払う、といったやり方が代表的です。
4) 共有分割
分割しにくい遺産や、みんなで使いたい遺産をみんなのものにしておく方法です。
とりあえずで、遺産を共有にしておくこともあります。
話し合いで簡単にまとまるのなら、上記の方法にとらわれる必要はありません。
代償分割にしなくたって、遺産の全てを長男に託したっていいわけですから。
むしろ、個人の遺産形成に長男の尽力が多大にあったなら、他の人には無茶な要求はして欲しくないものです。
もちろん、その場合は、寄与分などの計算をして、無茶な要求を退けることになります。
遺産の分け方が決まったら「遺産分割協議書」を作ります。
財産の名義変更
遺産分割の協議に基づいて、遺産の名義変更をしていきます。
遺産の名義変更については、何の名義変更をするにも、遺産分割協議書はじめ、故人の除籍簿謄本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明、その他もろもろの書類が必要になります。
不動産の名義変更は司法書士、自動車、預金、貯金といった、動産の名義変更は行政書士が行います。
もちろん、相続人が自分たちで行うことも、可能です。
柳行政書士事務所に依頼された場合、自動車、預金、貯金、株等の動産の名義変更は、行政書士が行い、不動産の名義変更は司法書士に依頼します。
もちろん、不動産の名義変更は遺族でするのであれば、行政書士は、遺産分割協議書を作成し、希望に応じて、動産の名義変更のお手伝いをします。
相続税の申告と納税(10か月以内)
申告と納税は、実はしなくてよい人の方が多いのです。
必要性の判断については、次のとおりです。
まず、課税されるべき遺産額が、基礎控除額より少なかったら相続税の申告も納税も必要ありません。
その基礎控除額とは「5000万円+法定相続人の数×1000万円」です。
この計算をする時、法定相続人の数に胎児は含みません(胎児のままだと)。
生まれてこない場合もありますし、双子だったりする場合もあるからです。
生まれてきてから、遺産分割や税計算をした方が、トラブルは防げます。
相続を放棄した人はここでは含まれます。
代襲相続人が発生した場合、しっかり含まれます。やたらと子だくさん、親のない孫たくさんだと、基礎控除額もたくさんになります。
この基礎控除額を超える遺産があった時は、配偶者控除や未成年者控除などの税軽減措置の適用を検討します。
相続税の申告は多くの書類を必要とします。また、税務署では節税指導はしてくれませんし、間違って払い過ぎても、こちらが気づいて申告しない限り、返してはくれません。 追徴課税はあっても追徴還付はないのです。
慎重な手続きが必要になります。
遺留分減殺請求(12ヶ月以内)
相続人には、法定相続分とは別に、最低限守られた取り分があります。
それを遺留分といいます。
遺言等で遺留分すらもらえないことになっていたら、遺留分は相続させてください、と請求します。
請求しなくてもそれは自由です。
遺留分をもっと詳しくいうと。
遺留分とは、どんなに困った遺言書が出てきても、法定相続人が請求すれば最低限もらえる遺産の取り分のことです。
法定相続人、法定相続分と言ったところで、遺言書があったなら、それは簡単に覆されてしまいます。
それは、遺産はやっぱり故人のもので、故人が自由にしていいものなのだ、という考え方から来ています。
そうはいっても、それでは相続人が気の毒というもの。
遺産をあてにして生活設計をしてきた人もいるでしょう。
そこで、遺留分の出番、というわけです。
遺留分は、遺産の2分の1を法定相続分の割合によって分け合います。
法定相続分の2分の1と考えるとわかりやすいかもしれません。
ただし、相続人が故人の父母、祖父母のみになる時は、遺産の3分の1を父母等で分け合います。故人の兄弟姉妹には、遺留分はありません。
もし、妻子ある男性が亡くなった時、妻にすべての財産をあげる、といった遺言状が出てきた場合、子という、法定相続人が遺留分を求めれば、子も、法定相続分の2分の1の遺産を相続できます。
簡単に全財産はもらえません。
また、相続人が兄弟姉妹だけで、とても仲が悪い、いないほうがましだと思っているようなら、遺言書をつくっておくことをお勧めします。
あなたの死後、ビタ1文、兄弟姉妹のところへ遺産はいきません。
兄弟姉妹には遺留分はないからです。
遺留分減殺請求は内容証明郵便で行います。
ちなみに、この遺留分は、故人の生存中に放棄させることができます。
遺言書と組み合わせれば遺産を故人の自由にできることにはなりますが、放棄の場合と違い、撤回することもできます。
相続・参考書式
参考になる書式を公開しています。
・「DL」とあるものは「DL」をクリックするとダウンロード(「保存」と「開く」が表示される場合は「保存」を選んでください。)されます。PDFはネット上に表示されることがありますので、保存や印刷をしてご利用ください。
・「-」とあるものは、配布していません。
・「~円」と価格の記載があるものは、販売となっています。メールにてお申し込みください。
※同業者の方は、別途、お問い合わせください。
書類名 | Word | Excel | |
遺留分減殺請求書(内容証明) | - | DL | - |
- | - | - | |
- | - | - | |
- | - | - | |
- | - | - | |
- | - | - | |
- | - | - |
※細心の注意を払っておりますが、法律の改正、地域によってはご使用になれない場合があります。ご自身の責任において使用してください。
※この書式の加工、記入方法については、有料にて対応しています。
※PDF、Word、Excelの使い方については、ご自身でお調べください。当事務所のExcelは関数を使用し、マクロは極力避けていますので、さほど専門的な知識はいらないはずです。