交通事故賠償を、非常にわかりにくくしているのが、2種類の自動車保険の存在です。
それは、自賠責保険と、任意保険です。
自賠責保険のことは、自賠責保険のページで解説しています。
ここでは、任意保険について、説明します。
まず、最初に知っておきたいのが、交通事故賠償は、加害者がするもの、という点です。
保険屋さんが賠償してくれるようなイメージですが、違います。
賠償しているのは、あくまで加害者です。
そして、加害者がした賠償という出費に対して、保険金が支払われる、これが本来の保険です。
自動車保険のCMも、被害者では無く加害者を『リスク(賠償という出費)から守る』と表現していますよね。
わかりやすくすると、 「被害者」←「加害者」←「保険屋」です。
しかし、だったら、間の加害者を抜いて 「被害者」←「保険屋」 で、いいじゃないか、手間も省ける、ということで、あたかも保険屋さんが賠償しているような空気になっています。
そしてこの保険屋さんが、
・示談に介入してくること
・自賠責保険と、自社の保険をごっちゃにする
のが、また、話をややこしくしています。
加害者が、任意保険に加入している場合は、
賠償=自賠責保険+任意保険
加害者が、任意保険に加入していない場合は
賠償=自賠責保険+加害者負担
加害者が、完全無保険の場合は
賠償=政府保障制度+加害者負担
で、保険屋さんがしがちなのが
賠償=自賠責保険
的な説明・・・。
※これらは、人身損害の話。物損には自賠責保険や政府保障制度はありません。
保険屋さんと話をするときは、まず、この辺りの整理から入ると良いでしょう。
それと、保険屋さんは、加害者と比べて『人に怪我をさせた』『死なせた』という罪悪感がないため、事務的に処理することができます。
そう、『対応』ではなく『処理』です。
それは、そういうもんだと思った方が、被害者さんの精神衛生上よいのかなと思います。